
2010年3月赤谷の日
小雨⇒曇り、11:30~16:00、6℃→3℃
雪は融けた
3月の赤谷の日を迎えた。先月は雪に泣かされて何もできなかったが、今月はどうだろう。前日、ライブカメラで三国峠付近をチェックするとかなり標高の高いところもだいぶ雪が溶けていて、麓は雪が見当たらない様子だったので、行けると踏んだ。都内よりも寒いとはいえ、春はみなかみの山にも同じく訪れているのだ。
当たり鳥予想外れの理由は?
雪は少し残っていたが、1月に比べるとはるかに歩くのが楽なコンディションだった。スノーシューなしの「ツボ脚」で歩ける状態だった。今季未見だったミヤマホオジロやウソを観察しながら、足跡調査を試みつつ歩いた。赤谷の一部地域では既にマンサクが咲いているそうだが、このコースでは花は一切なかった。
この日確認した鳥類は29種。その中には私がこの冬季の当たり鳥になると予想して外れたアトリの群れが含まれている。複数箇所の山地で秋に大群で動いていたので、昨年同様冬には平地に大挙飛来すると予想したのだが、結局来なかった。今回秋と同じ状況を確認したわけだが、理由はわからない。少なくも平地に降りなくとも餌が間に合ったのだということは間違いなさそうだ。どんな食糧が彼らをまかなったのだろう...
第56回井の頭かんさつ会
2010年02月27日
9:00~11:45

今回ばかりはアウトか...
久しぶりに自分がメイン担当のかんさつ会を迎えた。テーマは私の家芸、探鳥会だ。
週間予報によると当日は前線が通過するタイミングに合い、雨ベースの予報。それが数日前になると少し前倒しになってきて、当日は大丈夫かなと思ったが、前日になると再び予報は悪化。かんさつ会の始まる9時頃は10㎜ほどの強雨になるとの予報になった。前夜、今回ばかりは屋外観察は無理だろうと雨プログラムのパワーポイントを制作。2時間くらい話をできるように内容の充実を図って頑張っていたら時間がどんどん経って、何とかまとめられたのは夜中の2時だった。
かんさつ会は雨知らず!鳥運もばっちり!!
朝、強雨を予想しながら自宅バルコニーに出ると、外は小雨程度だった。今日は強雨で間違いなく雨プロだと思い込んでいたので驚いた。状況的に雨脚が強くなるまでは野外観察し、天候が悪化してきたら屋内講座に切り替えるハイブリッドになる予感がした。
今回はさすがに悪天候を嫌ってキャンセルが続出。無理もない。10mmも降ってきたらとてもではないが、観察にならない。屋内も面白い内容を講演する自信はあるものの、やはり野外で観察するのが本道であるのは間違いないのでやむを得ないと思った。
直前までパワポのアップデートをしていた私が少し遅れて現場に着くと、既に熱心な参加者が到着していた。満員御礼でスタッフ含め60名だった参加者は最終的に40名まで目減りしたが、強雨によって屋内講座になることが確実視されているにも関わらず約2/3の参加者が来てくれることには感激した。その熱意が通じたのか、かんさつ会の始まった9時には予報を跳ね返して雨は止んだ。これは奇跡か、かんさつ会ジンクスか?
天候だけでなく鳥運も味方してくれた。このところ出の悪かった状況は一変し、トラツグミからキクイタダキまでいろいろを観察することができた。案内の私自身が心底面白かったと言えるような鳥観ができたのだった。アオゲラのドラミングを聞きながら締めくくりの挨拶をして会を成功裏に終えた。
外来魚捕獲実験
2010年2月21日
快晴、11:30~14:30、11℃
久しぶりに外来魚の駆除活動に参加した。今回は武蔵野大学で環境学を勉強している学生さんが応援に来てくれて、ウェーダーを履いて作業を担当してくれた。活動はこの時期に魚が集まっているお茶の水付近で行い、一網打尽にする作業を実施した。今週は電気ショッカーを3日間操業した後なので、結果がどうなるか予想できなかったが、かなりの成果を上げることができた。
在来魚が増えてきた
この日はブルーギルもたくさん捕れたが、一番の成果は在来魚であるモツゴが多く捕れたこと(もちろん在来魚は後で逃がします)。その100匹近いモツゴは大小混在していた。それは今までなかった明るい材料で、今まで食べ尽くされていた稚魚が生存できるようになってきたということの証左だ。過去に同じくらいモツゴが捕れたこともあったが、全て大きな成魚ばかりだった。つまり、今まではブラックバスとブルーギルが池に充満していて在来魚が子孫を残せず、絶滅に向かっていたが、私たちが地道に外来魚の駆除を続けてきたことの効果が少なからずあり、在来魚の稚魚が生き残れるようになってきたということだ。大きな励みになる材料をこの日得ることができた。
餌やり自粛+ミニ観察会
2010年2月14日日曜日
快晴/曇り、10:00~14:00、8℃
井の頭かんさつ会の仲間と共に、餌やり自粛普及啓発活動に取り組んだ。今日は仲間が多く集まったので、役割分担で私はミニ観察会の役割を担った。餌をやることがよろしくない説明はいくらでも的確にできるが、生き物に興味がある人々に我慢だけを強いるのも心苦しいものがある。そこで、楽しみ方をお伝えすることにした。生き物との接し方を餌やりではなくて、観察に変えるだけの話でそんなに難しいことではない。良く観察することでもっともっと楽しめることがあることを、繁殖中のカイツブリをスコープで覗いてもらうことを軸にして説明した。真冬にカイツブリが繁殖することに外来種問題が関係していることをわかりやすくお話しさせていただいた。
「アバター」鑑賞の感想
興業成績抜群で、誰もが口を揃えて絶賛する映画作品「アバター」を鑑賞してきた。「自分がその場にいるよう」というような感想が多い3D効果がせっかく用意されているので、3D対応の劇場で鑑賞した。ジョーズ3以来のメガネをかけての映画鑑賞となったが、当時と違うのは青赤メガネではなくサングラスのようなメガネだということ。どの劇場も3D料金300円をとっているが、これは3Dメガネの原価回収のようで、上映が終わると「回収にご協力をお願いします」とアナウンスするが、回収に力を入れている様子もなく、結局は使い回しができれば300円づつ儲けが出るというところで本音と建前が見え隠れしている。まあ、その辺りを見越して私はブログネタにメガネを持ち帰り、こうして記事を書いている。
久しぶりに素晴らしい作品を鑑賞した。一杯やった20時過ぎからの鑑賞だったが、うたた寝することもなく、一気に観終えた。評判通り映像も素晴らしいのだが、私としては物語が心に響いた。多様な生き物と共生し、感謝しながら狩りをして最小限を糧とする。そんなアイヌのような思想が描かれていた。そういう生き物としての人間が持たなければならない謙虚さを忘れ、利益のために傲慢さをむき出しにする人間像、最後には「神の大きな力」に思い知らされる姿の描き方が素晴らしかった。
映画の評判はあたかも「3D効果でそこにいるかのよう」という所がクローズアップされているが、私はジェームズ・キャメロン監督の素晴らしい能力は、現代人が誰も観たことのない、現実を観たことのない世界を、技術を駆使して現実的に見せること。動画などない歴史上の過去の世界はもちろん、今回のような全くの空想世界にリアリティを持たせるところにプロデュース力を強く感じる。未だ観ていない方は必見の名作!!
タカを見て、タカを観ず
2010年2月12日金曜日
小雨、7:55~8:40、2.8℃
冷たい小雨の朝、大した観察はできまいといつもより少しゆっくりデスクワークをした後で家を出て駅へ向かった。最近ますます冬鳥の少ない森へ入り、生き物を探しながら歩いているとオオタカがパーチしているのを見つけた。しかも見かける頻度の少ない成鳥ではないか。思わず傘を閉じ、この被写体と対峙する。さーて、どう料理したものか…
前回成鳥とは機材を持っていない時の出会いだったので、朝組Tさんからカメラをお借りし、シャッターを切って鬱憤を晴らしたが、今朝は18-200mm+D80の簡易機材ながら自分のカメラを持っていたので何とか記録することができた。オオタカ成鳥はこちらをチラチラ観ながらも、比較的にリラックスして休息していた。何カットか撮影した後に角度を変えてみようと森の反対側に回り込むことにした。
一瞬で若返った?オオタカ??
十数年前、初心者だった頃は一度眼を離すと、せっかく見つけた鳥がどこにいたのかわからなくなって見失うことばかりだった。そこで、鳥がとまっている周辺の状況を記憶して、鳥を見失っても周囲の手がかりから辿って再発見するということをしていた。しかし、経験を積み、場数を踏む内に「見える」ようになり、どのような状況でも再発見が容易になった。今回のように眼を離して二百メートルくらい回り込んで歩き、角度を変えても再発見は容易。殊に今は落葉期で森の見通しは抜群だ。すぐに再発見でき、撮影するのに枝が邪魔にならない位置を探した。なかなかそういう場所が見つからないので、双眼鏡で枝ごしのオオタカの見え具合を確認してびっくりした!なんと成鳥だったはずが幼鳥になっていたからだ。「?!?!!?!?*#&%?」
思わず「若返った?!?!」混乱させられたが、もちろんそんなことがあるはずもなく、まもなくさっきまで観ていた成鳥が別にいることを発見した。そう、2羽のオオタカが森にパーチしていたのだった。
木を見て森を観ず、ならぬタカ見てタカ観ず、である。一羽のオオタカ成鳥を発見して観察しながら、他にもいるかもしれないというところまで「読む」ことはできなかった。しかしながら、今回このような経験をしたことを通じて今後は「読み」のアンテナを広げたい。
あなたの目の前に見えているものの背後に伏兵がいるかもしれないということだ。
NACOT生物多様性研修会
2010年2月11日木曜祝日
国際生物多様性年の今年2010年は自然観察指導員として例年以上に多様な活動に取り組む年です。NACOT(NACS-J自然観察指導員東京連絡会)ではプロジェクトチームを結成し、生物多様性保全普及のための諸活動に取り組んでいます。この日開催した研修会もその一環で、会員向けの研修会ながら、会員以外の指導員や一般の方もお招きしての公開セミナーとしました。
自分の生物多様性保全への取り組みを発表
私も発表者の一人を務めまして、自分の活動を生物多様性保全の事例として紹介しました。私の活動では井の頭公園での調査活動と赤谷での調査活動があり、両者を対比させながら、どちらも大切さは等しく、継続観察を通じて身近な環境の生物多様性を保全する活動を推奨する内容をお話ししました。持ち時間が30分しかなかったので、概要しかお話することはできませんでしたが、具体的な事例紹介が少しでもヒントになったならば意義があることです。
桜開花は地球温暖化?
2010年02月09日火曜日、7:35~8:25、5.4℃
日中18℃にもなるという日の朝、井の頭公園では桜が開花していました。
え、地球温暖化の影響ですか。東京では3月中旬以降に咲くはずの桜が今咲くなんて、温暖化で花期が早まっているんだ!…本当にそうでしょうか…
普段見慣れない現象に気づくと何でもすぐに地球温暖化に結びつけて考えていませんか。桜って何でしょうか?植物の種類??…そう、桜は総称であって、多様な品種がありますね。東京で3月中旬以降に咲き、花見で親しまれているのはソメイヨシノです。この写真の桜は品種が違い、河津桜といいます。名前の通り、伊豆の河津が本場の1~2月に咲く桜で既に今は満開になっています。 井の頭公園にも2本、河津桜があって2月に咲きます。だからこの現象は地球温暖化とは全く無関係なのです。
冬の景色同日二景
2010年2月7日a.m.群馬県みなかみ町
2010年2月の赤谷の日でいつものようにみなかみへ向かった。この土日は冬型気圧配置が強くなり雪の予報だったが、日曜は回復傾向のようだったので、(山道を歩きやすいように)積雪が少ないことを祈った。最悪、先月のラッセル大会と同等の状態なら、ド根性で目的地まで歩けるから活動時間の勝負で済むと考えていた。Tさんの車の助手席でそんなことを考えていると、上信越道の吉井-富岡間が雪で通行止という情報が入った。「…そんな手前で通行止めになるほどの雪?」Tさんと首を傾げながら事故渋滞をくぐっていった。嵐山の辺りにさしかかると周囲は雪景色となり、しかもついさっきまで降っていた形跡があった。「ずいぶん手前で雪景色になりましたね…」Tさんと共にこの冬の冬らしさを考察しながら進んだ。ほどなくチェーン規制になり、雪が降り始め、月夜野を降りる頃は本格的な降りになった。道路は凍結しており、いきもの村にたどり着けるか不安になった。結局、何とか無事にたどり着けたが、集合時間になる頃には雪が本降りになり、風が出てきて吹雪き始め、活動は困難と思われた。初日は屋内でミーティングということになった。
この赤谷の日に何としてもやっておきたい作業のあった私は二日目の天候の回復に期待していたが、降り止まない雪はどんどん積もっていった。「これは無理ですね…」温泉に行く車の中で、翌日朝から晴れていたとしても新雪が最低でも50センチ以上積もった山道を奥まで歩くのは極めて困難だと状況を見極めた。ド根性でもどうにもならないのが自然の力だ。活動メンバーでお気に入りの「生京園」の温泉をお借りし、酒を買い出して雪の夜の宴へ。
翌朝、早朝に小屋の屋根の雪が勢いよく落ちる轟音で目を覚ました。雪は降り続き、時折窓の隙間から粉雪が侵入してきて、寝袋にくるまっている私の顔にぱらぱらと降り注いだ。外が明るくなってきたので、起き出して小屋の外へ出てびっくり!雪は想像以上に積もっていたのだった。しかも雪はとどまることなく降り続いている。「こりゃ、だめだ…」どんな活動もできないことを確認し、朝食を済ませて2時間ほど雪かきし、早々に退却した。新潟県境に近いとはいえ、一応太平洋側の赤谷だが、2005-2006年シーズン以来の大雪に見舞われたということになる。裏日本の人々の苦労を少しだけ体感できた土日だった。
2010年2月7日p.m.東京吉祥寺井の頭恩賜公園
関越は駒寄PAまでチェーン規制になっていたが、渋滞もなくスムーズに帰ってくることができた。強い冬型の気圧配置の影響か、関東は快晴ながらとても風が強い。昼過ぎに井の頭公園に着き、大荷物を抱えながら池のカイツブリを観察。4日に孵化が確認された雛には3日の夜に産まれていたと決めつけて「豆太郎」という名前をつけよう。昨年のバレンタインちゃんより10日早い孵化だ。外来魚によって池の生態系が撹乱され、カイツブリの繁殖サイクルがすっかり狂ってしまった。カイツブリの子育てはすっかり冬の光景となってしまったのだ。
井の頭池海戦
2010年1月31日日曜日、12:00~16:00、15℃
カイツブリ2ペアの縄張り争い
午前中、2月11日の生物多様性研修会のプレゼン資料を完成させ、昼過ぎに出陣。七井橋に13時に着いてかんさつ会の仲間と共に餌やり自粛キャンペーンに取り組んだ。餌やりの弊害をわかりやすく説明すると同時に、鳥類観察の楽しさをお伝えするよう心がけた。公園利用者と話が盛り上がっていると、池で戦が起こった!。。。見るとカイツブリ2ペア4羽が争っていた。ペア2羽づつに分かれ、船団同士の戦いのようだった。「龍馬伝」や「坂の上の雲」を楽しみにして観、明治ブームにはまった身としては「秋山兄弟」「東郷ターン」でバルチック艦隊を壊滅させた日本海海戦になぞらえて観察して楽しんでいた。
砲撃?が始まると、滅多に飛ばないカイツブリが飛んだ!当の本人、本鳥たちは縄張りを巡っての争いなので必死である。特に今、新七井ペアは抱卵中であり、そろそろ孵化するというタイミング。侵入者たちのタイミングは最悪だったといえる。
冬越し
餌のない真冬、鳥たちは懸命に餌を探し、冬越ししている。
落ち葉をひっくり返すシロハラ、じっくり観察しているとかなりの確率で落ちた実を
見つけてしっかり食べている。この黒い実はなんだろう。ただ冬鳥を見つけて種類や雌雄を知るだけではもったいない。行動を観察することでわかることがいろいろあって楽しい。2月の井の頭かんさつ会で一緒に観察しましょう!
ジョウビタキみっけ!
冬鳥の少ない今季だが、今日は綺麗なジョウビタキの♂を見つけた。
警戒心が少ないように見せて、結構しっかりとこちらを観ている。このジョウビタキとルリビタキが同じ小形ツグミ類の冬鳥の代表格。両者とも良く尾を振るわすのが特徴だが、「お辞儀するかしないか」の違いがある。
美しい背中
カワセミは決して珍しい種ではないが、いつ観ても嬉しい。この時期、上面(背)のコバルトブルーが特に鮮やかで美しい。1月の井の頭かんさつ会で話をしたが、冬場にカワセミを良く観るのと、カイツブリが季節はずれの真冬に繁殖することには共通の理由がある。当地の生態系を知っていれば、理由はわかる。
京金の「そば定食」 2010.01.23土曜日
井の頭かんさつ会行きつけの蕎麦屋「京金」。土曜日の外来種防除活動の後などに利用している。ここのサービスメニューが「そば定食」750円。もりそばに海老天、ライス、お新香、山菜、トロロまでついている。これ、ボリューム満点で嬉しいのだが、ちょっと食べきれない量だし、どう攻略するかが課題である。もりそばと海老天、ライスにお新香だけなら天せいろにライスというところで、単純に食べられるが、山菜ととろろの処遇に困る。この「そば定食」、私はこう攻略した。
①海老天をそのまま塩味で食べ、そばをすする
②山菜を少しつまむ
③ライスを口に入れる
④海老天を軽くつゆにつけて食べ、そばをすする
⑤お新香で返し、ライスを少々
⑥海老天でそば(海老天なくなる)
⑦山菜とお新香でライス
⑧そばが半分以上なくなったところで、山菜とつゆをとろろにIN
⑨山菜とろろそばとしてそばを平らげる
⑩残ったライスをお新香で片付ける
⑪そば湯をすすり、食休み
食べ方に決まりはありません!
忘れ物を助けていただいたJR吉祥寺駅遺失物担当、および拝島駅の担当さんたちに菓子折を届け、夕方から久我山緑の散歩道さんに依頼された勉強会を実施してきた。
第55回井の頭かんさつ会
2010年1月17日日曜日
10:00~12:00、快晴、8℃
2010年1月のかんさつ会はカモを中心に池の水鳥の観察をテーマにした。

私たち「井の頭かんさつ会」「井の頭バードリサーチ」は懸案だった餌やりの問題に取り組み、2007年3月に公園の管理者である都の西部公園緑地事務所や東京吉祥寺ライオンズクラブと共に大々的に餌やり自粛を呼びかけるキャンペーンを行い、一部の身勝手な人々以外のほとんどの公園利用者の理解と協力を賜ることができて、餌やりを大幅に抑制することに成功した。野鳥との好ましい接し方がほぼ実現したわけだが、一方で池を訪れるカモの数は激減し、いかにカモたちが人の与える餌に依存していたか、いかにこの井の頭池の環境が乏しいものかがはっきりした。私は「井の頭バードリサーチ」の仲間と一緒に池のカモを数えているので、数字としてデータがある。2009年12月は2006年12月に比較してたった18%しかカモがいない。ちょっと寂しいという声もあるが、数が多ければいいというものでもない。間違っても食べ物で生き物を集めようなどという発想をしてはいけない。
この餌やり自粛キャンペーンとほぼ同時期から池のカイツブリは繁殖ができなくなり、その原因を調査したところ池の中が外来魚に侵略されていることが浮き彫りになった。今までの生態系ではカイツブリはモツゴ(クチボソ)やスジエビといった生物を餌にしていたが、外来魚であるブルーギルとブラックバスによってそれらは壊滅状態にある。外来魚は在来魚に比べて動きが素早くて捕食しにくく、しかも食べにくい形をしていることから、子育てが不可能なほど餌が捕れない状況に陥っているのだ。
現在の井の頭池には以上のような環境問題がある。餌やりを自粛した結果、外来魚を徹底的に防除し、破壊された生態系を復活させ、生物多様性を豊かにし、より多くの水鳥が普通に生活できるような環境を目指す保全活動が必要だということがはっきりしたのだった。
そういう話を紹介した上で、今池に残っているカモを観察した。餌やりがないことはいいことだ。以前は人が投棄する餌にカモたちが群がり、大混乱の見苦しい状況だったが、今はこうして本来の生態・行動を見せてくれる。水辺に垂れている植物の葉をカルガモが採食し、オナガガモとハシビロガモは水面採餌に余念がない。キンクロとホシハジロは潜水する。少しでも餌を与えると、こうした本来の行動が観察できなくなるから、餌をやらなくなった池でこそ、水鳥の観察を何倍も楽しめるわけだ。

水辺の宝石、翡翠
カワセミは今や珍しい種ではなく、ここ井の頭公園でも数羽が飛び交い、良く観察できるのが当たり前になっている。それでもかんさつ会参加者には数えるほどしか観たことがない人もいて、この日も目の前10M以内でじっくり観察できたことにとても喜んでいただけた。カワセミもカイツブリ同様、外来種問題ではとても苦労している。
参加者に環境保全活動への参加を呼びかけてかんさつ会を終えた。

雪の赤谷
2010年1月9~10日土日曜
斜面が得意なカモシカもラッセルは大変そうだった 今季は雪が多いようだ。久しぶりに入った赤谷は積雪があり、奥山への道は閉ざされていた。いろいろな要素が2005-2006年シーズンに似ていて、いろいろな生き物の出現や動きも同じようになるのか興味があるところだ。
積雪が多かったので、この日のアクティビティは新雪のラッセル・トレーニングの様相となった。私は時間と体力が限られる中、五感を働かすことができず、かろうじて聞こえる声で鳥類の種を確認するのが関の山だったが、体力に勝るHさんは積極的にラッセルしてくれた上に雪上のカモシカを見つけてくれたりして、すっかり助けられてしまった。
ウサギの留め足
どこに消えたのでしょう? 今回は雪上についた生き物の足跡を調査する、いわゆるアニマル・トラッキングのアクティビティに取り組んだ。ネズミからカモシカまで多様な足跡を見つけてはその主と行動を推察していた。一番多く、わかりやすい足跡がウサギのそれなのだが、今回は見事な留め足に感心した。留め足というのは自分の痕跡を天敵に覚られないよう、要は足跡による追跡をさせないようなかく乱行動である。上の写真、ウサギの足跡が急に消えている。これが留め足。一体彼はどこへ行ったのだろう???
いくつかの面白い観察
2010年1月3日日曜日、晴れ、9:00~11:00、3.8℃~9℃
面白い観察その1、「ハシボソガラスの性癖」
鏡を覆えば被害はないはずだった 近所に棲息するハシボソガラスが自動車のミラーに映る自身の姿を競合者と勘違いし、アタックする話は2009年10月30日付「身の周りの面白い観察」で紹介した。これを嫌った自動車のオーナーがミラーにスーパーの買い物袋を被せてガードしている事例を紹介したが、それが通用しないことがこの日の観察でわかった。
袋を破ってアタックするボソ氏。執拗だ。
例のボソ氏が買い物袋のビニールを食い破ってミラーにアタックしていたのだ。白いビニールでミラーは覆われていて自分の姿が映らないにも関わらず、こいつは執拗にアタックしていた。袋で覆い隠しても、その向こうに競合者がいることが解っているとでもいうのだろうか。もちろん実際には競合者など存在しないので、果たしてこいつの頭は良いのか悪いのか評価は微妙かもしれない…
もしかしたら観察者である私の現象分析が誤っていて、彼が執着しているのは鏡に映る自身の姿云々ではなく、鏡自体が嫌いか、あるいは自動車そのものに何か恨みがあるのかもしれない?いずれにしてもボソ氏のストーカーぽい執着心にドン引きした、けれども面白い観察だった。
面白い観察その2、「カラスの喧嘩現場」
ハシブトガラスの集団がけたたましく騒いでいた。こういう時はオオタカが近くにいることが多いので、騒ぎを確認しに行ってみた。すると…
騒ぎはオオタカに対する牽制ではなく、カラス同士の喧嘩だった。それをしばらく観察していると、一羽が仰向けに押さえ込まれて動けなくなっている所を数羽で執拗に突く、リンチのような光景が展開され、またもやカラスの凶暴性を目の当たりにしてドン引きしてしまった。(コイツ、死ぬな…)私はたまにカラスの死骸を見つける事があるので、こういう経緯で「淘汰」されてゆくのだと思い、この個体もアウトだと思った。ところが事の成り行きを観察していると、不意に喧嘩は収まり、一羽、また一羽と現場を離れていき、最後に被害者の遺体が残るだろうと思っていたが、やられていた個体も飛んで去って行った。これには一緒に観察していたKさんと顔を見合せて首を傾げるばかりだった。
面白い観察その3、「羽を伸ばす」
初めて見た時は死体かと思った これは良く見かける光景でそんなに珍しい観察ではないのだが、キジバトが地面にべたっとして羽を伸ばしているところだ。彼が何をしているのかというと、もちろん人間が自由にのびのびする「羽を伸ばす」行為とは程遠く、羽についた寄生虫を日干ししているのだ。カワウが羽を広げて伸ばしているのを、カワウの羽には油分が少なく、水中に潜るなどして羽が水に濡れると重くなり飛びづらくなるので、乾かしているという説明が良くなされるが、果たして本当の目的は何だろう。
面白い観察その4、「ポリポリというよりパキパキ」
本日の観察が終盤にさしかかった頃、パキッパキッという音を耳が拾った。目の前の木を見上げるとイカルがいて、樹肌でその木がエノキだと確認した。イカルたちは例によって残ったエノキの実をポリポリと食べていたのだった。その場所は公園の出入口の一つに当る場所なので通行人が多いのだが、彼らはお構いなしに食事に夢中。立ち止まった通行人と一緒に観察しながら数えると7羽いた。実を噛み砕く音は結構大きく、以前に使ったポリポリという表現よりもパキパキという方が適切かもしれない。私は写真を撮る際あまりガツガツやらないので、この時もたまに適当にシャッターを切るだけで狙ったわけではないのだが、幸運にもなかなか面白い一枚が撮れた。
こんな感じで身近ないつものフィールドでいくつもの面白い観察ができた日だったのだが、これも365日毎日フィールドに出ているからこその賜物だと自負している。ぜひこういう身近な環境での充実した自然観察を多くの人に愉しんでもらいたいのだが、日頃から視覚、聴覚研ぎ澄ませてフィールドを歩き、場数を踏んでいないとなかなか「気づく」ことができないし、樹種や生き物の生態など簡単に知らないと状況が分析できないからそんなに簡単ではない。でも、経験や能力はすぐに渡せないけれども、観察の着眼点やコツなどは観察会などの場で参加者にお伝えしてゆきたいと思う。そして、好きとか楽しさを知ってもらうには、自分がもっと楽しくなれることが大切だ。生物多様性年、一層精進しなければ。
2010年鳥観初め
2010年1月1日元旦
快晴、9:50~12:00、9℃
カイツブリ新七井ペア とうとう2010年になってしまった。新たなディケードに入り、21世紀の二桁年代に入ってしまったわけで、昨年までの一桁年代とは違って大きく時が流れた感じがする。
大学時代にはゼミで日本経済論を学んだ。ゼミでは2015年には4人に1人が65歳以上というデータを取り上げてしばしば議論したもので、その当時はどこか遠い未来のことという感覚があったものだが、もうその目前まで近づいて来てしまったわけだ。
新年の鳥観初めでフィールドを一回りしてきた。外は空気が澄んでいて、風が弱く、あたたかな新年らしい日和となった。新年最初に出会った鳥はメジロで、最初にシャッターを切った相手は「主」というニックネームをつけたシロハラだった。その後もルリビタキなど31種の鳥を確認することができた。数は少ないのだが、良く探すと見つけることができるという状況だった。
2010年は10月に名古屋でCOP10が開催される「生物多様性年」。私もこれまで以上にいろいろな活動に取り組むことになる年だ。既に予定がいろいろ決まっており、宿題も山積していて、考えただけで今から疲れそうだが、この正月休みにたっぷり充電しておくとしよう。




















