2002年1月1日
新しい1年がスタートした。昨年は実り多い充実
した年だったが、今年も益々良い年にしたい。
初日の出を観に行く暇がなかった元旦、実家に
顔を出した。もちろん、モモとの再会も楽しみで
あった。この犬、つらい境遇で生き抜いてきた
だけになかなか人になつかない。先日、仲良く
なったはずなのに、もう忘れられていた。この間
会ってから未だそんなに時間が経っていないのに
またひと回り大きく育ったようで、犬の成長の速
さには驚かされる。家族としばし談笑の後、羽田
へ向かった。そう、新年早々の北海道遠征だ。
少し酔っていたので品川まで車で送ってもらい、
京急で羽田空港へアプローチした。
テロの影響で空港での荷物検査などが厳重になっ
ているので出発時刻の1時間30分前に到着したの
だが、帯広行きの便に何かあったらしく、飛行機
が変わったりして30分の遅れとなったので、
思いきり待つハメになった。待ちに待って最終的
に飛んだのは18:00前だったので、結局2時間半
程も待たされた事になる。その代わりに空港と
東京の素敵な夜景を機内から楽しむことができ
た。帯広に到着したのは19:00過ぎで、いつもの
ように実家の両親に車で迎えに来て頂いたが、
その車窓から夜の十勝平野を眺めるのは初めて
だった。根雪が少しあるが昨年に比べると積雪は
少ないとの事だった。夜は家族で正月を祝った。

2002年1月2日
正月だからとゴロゴロしていては勿体ない。今は
北海道に来ているのだ。6:00前に家を出発した。
昨年出会ったシロハヤブサを求めていつもの
フィールドを巡回することにした。今の日の出は
7:00前後。十勝太で大平洋の日の出を拝んで1日
遅れの初日の出を堪能した。海には、けあらしが
立ち、大きな氷塊が転がっていて実に寒々しい光
景だった。気温は低めで-20℃前後だった。積雪
が少ないので周辺の枝道をくまなく走ってシロハ
ヤの姿を探したが、見当たらず。今年は来ていな
いのかもしれない。河口でオオワシ、オジロワシ
を観るも写真には写せなかった。全体的に鳥の数
が少ないように思われ、少し気になるところだ
が、まあ鳥たちも正月休みなのかもしれない。
帰りにケアシノスリらしい鳥を発見するも、これ
も逃げられてしまい今日は写真にならない日のよ
うだ。地元に帰って来て少し周辺を巡回すると思
わぬ所にオジロワシが来ているではないか!なか
なか良い写真は撮れなかったものの、少し希望が
出てきた。時期が早かったのか、生き物が減った
のか、とにかく前回と全く違う展開に戸惑った日
だった。

2002年1月3日
探究の手は休めない。昨日の不発に懲りずに早起
きして昨年オオワシを撮影したポイントを目指す
ことにした。今朝は帯広の写真家、澤田武氏が同
行した。まず、行きがけに有名な撮影ポイントを
ロケハンする事にした。ここらで写真をやってい
れば撮影ポイントは山ほどあるので、雑誌など
で紹介されているポイントなど参考にもしないの
だが、そのポイントは撮影ツアーも組まれて大勢
群がるという話なので、冷やかしで様子を見て
みようと思った。測候所の気温-17℃、撮影地は
20℃は出ていたと思う。どこの川もけあらしが
もうもうと湧いていて、川沿いの木々は真っ白に
霧氷がついていた。目的地を探している内に日が
昇って来てしまい、慌てて車を停めて撮影。その
有名なポイントとは違う場所だったが、それなり
に絵になるのだ。あらためて撮影地がそこここに
ある十勝の良さを実感した。
風景撮影の後は私の畑、野鳥写真。当初の目的で
あるオオワシの撮影地へ向かった。途中、ツミを
見つけて撮影。かなり近くで撮影できた。目的地
へ着くと、鳥影は見えなくてがっかりしかけた
が、すぐにオジロワシが2つ飛んで来て止まっ
た。『おや、オオワシでなくてオジロかい』と
思いつつ、とりあえず撮影しようと車で近付くと
あっさり飛び立ってしまった。その後も少しづつ
近付くが警戒心が強く、逃げられてしまった。
落胆しつつ周辺を巡回してみるとオオワシもハヤ
ブサも見つける事ができて、結果的には収穫が
多かった。それらの写真はこちらに。昨日は嫌な
ムードだったが、今日は収穫多く、どうやら探し
方とタイミングの問題だったようだ。

2002年1月4日
早起き3日目。そろそろ睡眠不足から身体がだる
く感じられたが、外に出れば被写体に溢れている
この環境は、連日の早起きでも全く苦にならな
い。早速、十勝川温泉を冷やかしてみるとけあら
しが凄く、朝日とけあらしと白鳥が幻想的な光景
を描いていた。それを目当てに撮影している人も
多く、基本的に他人と並んで撮影するのが嫌いな
私としては敬遠しようと思ったが、あまりにも良
いシーンが展開されていたのでおさえておこうと
思った。オオハクチョウは珍しい野鳥ではない
が、好きな人は10日ほどもここで撮影を続けると
いう。その魅力がどこにあるかが少し理解できた
ような気がする。撮影した後は浦幌方面へ。今ま
でほとんど行った事のない場所に新天地を求め
た。しかし鳥影は極端に少なく成果は上がらな
かった。それでも帰りがけにタンチョウを発見し
た。前回レポートしたように夏場には十勝でタン
チョウを観る機会は多くなったが、冬場は滅多に
観る事がない。釧路のように餌を与えているとい
う話も聞いた事がないし、食べていくのが大変な
ので、冬場は全ての個体が釧路へ戻っているのだ
と思っていた。しかし、今日見つけたこの個体
は結氷していない川で一生懸命自力で餌を取って
いたのだ。正真正銘、野生のタンチョウなのだ。
その後、浦幌森林公園に行ってみたが全く鳥の影
はなく、いつもの巡回コースをパトロールして
帰って来た。夜は恒例、澤田氏と十勝ビールで
呑んだ。この店も少し商売っ気が見えて来た。
そろそろ他の店も探究しておくべきか。

2002年1月 5日
十勝に来てから続けて快晴なので連日のように
早起きして撮影に行く日々が続く。曇りや雪にな
れば寝ていようと思うのだが、快晴とあっては
勿体なくて休んでいられない。今日は大物狙いに
区切りをつけて少し小鳥の写真を撮ろうと思い、
巡回コースを組んだ。まずは昨日の朝撮影した
オオハクチョウをもう少し押さえておこうと思
い、日の出の時間に合わせて出かけた。気温は
昨日より若干暖かい程度でほとんど条件的には
変わりなかったが、けあらしははるかに少なかっ
た。けあらしの発生には複雑な条件が必要のよう
だ。それでも昇ってくる太陽が川の水面をピンク
色に染め、けあらしの中のハクチョウのシルエッ
トがドラマチックだった。30分も経つと光はピン
クから昼光色に変わってしまったので次の撮影地
へ移動した。いつもの森に行く手前でオオタカの
若鳥を発見。霧氷の木に留まっている姿は実に
精悍で凛としていた。十二分に撮影した後に森
へ。正月の喧噪が過ぎた頃で、いつもと変わらな
い姿が戻っているように見えたが、実はすっかり
様子が変わっていた。まずエゾリスが見当たらな
い。2、3年前であれば必ず観られる時間帯なのだ
が、1匹もいない。聞けば毎日観察している人も
同じように感じているとの事。さっきのオオタカ
にやられてしまったのだろうか。落胆しつつ郊外
の森へ行ってみた。そこでもリスは出なかった
が、本命のシマエナガの群れに出会い、30分以上
の追跡撮影となった。いいかげん腕は疲れ、1GB
のマイクロドライブも2枚が一杯になり、11時を
回った良い時間だったので引き揚げた。そろそろ
疲れてきたが明日も晴れるのだろうか。

2002年1月 6日
またまた快晴。こうなればとことん撮影だ。いつ
もより少しゆっくり目に、日が昇った頃に家を出
た。既に完成の域に達した巡回コースをゆく。
今日も川沿いの木々は真っ白に霧氷していた。
けあらしの立つ川の中にオオハクチョウとカワア
イサのシルエットが見えた。いつもの森へ向かっ
たが、昨日のオオタカは見当たらなかった。その
代わりに姿が見えなかったエゾリス君たちが出迎
えてくれた。昨日は同じくらいの時間、天候で1
匹も見られなかったものが、今日は数匹出て来て
くれた。どういう要因があるのか良く判らない
が、単純に正月で人出が多かったのでリス君たち
引っ込んでいたのかも知れない。地元の環境保護
委員の方とそんな話をしていると、木々の間から
見える空に白い翼が見えた。昨日のオオタカだっ
た。やはりこの辺りを根城にしているのだ。今ま
でもこの森にはトビ、オジロワシ、ハイタカなど
は来ていたがオオタカが居着くのは初めてだと思
う。何だか生態系の変化があるようだ。その後再
び郊外の森へ。昨日に続きシマエナガを1時間ほ
ど追いかけた。観察を続ける内にいろいろな事が
判ってきたが、彼らの不思議な生態を垣間見る事
ができた。その報告は帰京してからまとめること
にしよう。それにしても連日、好天が続いてい
る。まるで私たちの訪問に合わせて良い天気にし
てもらっているかのようだ。明日は事実上、最終
日となる。予報は快晴。もうひと頑張りだ!

2002年1月 7日
今日も快晴。しかも日高山脈がくっきり見える
とてもクリアな快晴だ。朝日が山をピンク色に染
め、彫刻のような造形が美しい。撮影最終日の今
日は小鳥にするか、猛禽を追うか。迷った末に
収穫の多かったコースを再度回ってみることにし
た。オオワシをもう少し撮っておこうと思った。
1時間ほど車を走らせて現場に着くと、すぐに1羽
留まっているのが遠くから確認できた。早速、
撮影しようと思ったら、またもやカラスに追われ
て飛び去ってしまった。カラスというやつ、何か
人間の役に立つ事はないのだろうか。昨年見つけ
たポイントに来るやつを撮影しようと車の中で
2時間近く待ったが、この日は空振りに終わっ
た。少し奥地まで入ると遠くに3羽いるのが確認
できたが撮影できる距離ではなかった。良い時間
になったので、あきらめて小鳥狙いに切り替える
べく郊外の森を目指して出発した。つもりだった
が、道を間違えてとんでもない方面へ出てしまっ
た。それなら、とシロハヤブサを探して巡回する
ことにした。目をこらして車をゆっくりと走らせ
ていると白い猛禽が頭上を通過して川の対岸へ飛
んで行った。『シロハヤか!?』双眼鏡を覗いたが
はっきりと識別できない。とにかく追おう、と
対岸へ車を走らせた。それらしい個体は発見でき
ず、諦めかけた頃に思わぬ場所で白い鳥を発見し
た。ケアシノスリだった。『なーんだケアシか』
とは贅沢な感想だろうか。今回は狙っていたシロ
ハヤブサには出会えなかった。残念だが、なかな
か出会えないからこそ憧れるのだと思う。明日、
十勝を離れ東京へ戻る。また、いつかシロハヤブ
サに会える日を楽しみにしている。

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