with Canon EOS D30


2001年9月24日(10日目)
思い出の撮影ポイントの秋
遠征の疲れを癒すべく寝坊。外は快晴だが、
3連休の最終日なので無理に早く出かけても
混雑で嫌になることを考えると気乗りがしな
かった。それよりもゆっくり寝てすぐに始まる
仕事に備えた方が得策だ。それでもこの天気で
家にくすぶっていられるワケもなく、午後に車
を借りて出かけた。晩秋の十勝野を撮っておこ
うと思ったが、来た時にはキレイな黄色だった
豆畑はこの3日間の好天ですっかり刈り取られ
既に枯れ色になっていた。農家さんはどこも
忙しそうに収穫に追われていた。日中に動物に
出会えるはずもなく、ノビタキなど小鳥を撮り
ながら郊外へと車を走らせた。ヌップクの森へ
行ってみた。森を歩いているとこの地を守って
いる方に出会った。何でも少し前にハヤブサが
池のカモを仕留めて捕食中だったとか。いろい
ろと森の話を聞いて、その場に張り込んでみた
がハヤブサは現れなかった。リス類はいつもの
森の方が観察しやすいようだ。残念ながら明日
の飛行機で東京へ戻るので、ゆっくりと探究
できないのだが、また次回の楽しみの一つでは
ある。車をのんびりと走らせて戻った。

この美味しい空気も、ゆるりとした時の流れも
明日でしばらくお別れとなる。今回も北の大地
の恩恵に触れる事ができた旅であった。ただ、
美味しい豚丼を食べられなかったのが心残り
だ(笑)。次こそは『ぱんちょう』のを...

次回の来道の時もこの大自然が変わらず減って
いない事を切実に願う。(2001秋十勝日誌、完)
ノビタキ

2001年9月23日(9日目)
雪化粧の大雪
全道的に快晴で3連休の真ん中は絶好の行楽
日和となった。神田さんと河野さんと別れ、
周辺を観光。快晴の青い空に半分雪化粧した
大雪山系が鮮やかだった。交通量はさすがに
多く観光スポットの駐車場は車でいっぱいだっ
た。今回の撮影旅行も後半にさしかかり、もう
日数が残り少ない。できるだけ沢山の写真を
撮っておきたいので、いつものナキウサギの
場所へ向かった。現場には地元の愛好家と思わ
れるカメラマンが既に数人いて、一番良い撮影
場所は既に隙間なく三脚が並べられていた。
挨拶をしたが、何となく排他的な空気を感じた
ので不愉快に思い、帰ろうと思ったが、何しろ
年に数えるほどしか撮影の機会のないナキウサ
ギである、ここは一番辛抱だと違う場所で待っ
てみる事にした。皆が集まる撮影場所以外でも
ナキウサギは生息しているので、全く可能性が
ないワケではないからだ。作品のための背景と
か花がある、緑がある、光の入り方、出やすい
頻度といった点の違いがあるだけだ。じっくり
と構えていると愛想の悪いおじさん達が少し
アドバイスをくれた。期待して待ったが、なか
なか出てこない。その内にナキウサギ専門とい
う方が『こっちが確率高いよ』と『やっと』声
をかけてくれて『いやあ邪魔になりますから』
と言いながらも、すっかり撮る気満々で遠慮
していた三脚の列の一等地の端に加わった。
少し撮影したが、既に時間がなくなったので
帰る事にした。
今回の遠征も大詰めで、後は帯広へ帰るのみ
だ。日も傾いてきたし、もう撮影するものは
ないだろうと思いつつも、いつものように
超望遠を抱えて助手席に座っていると、遠くで
猛禽類らしきものが電柱の上に降りて留まった
のが見えた。トビかなと思いながらも少し小さ
いような気がしたので注意して観察してみると
胸が白っぽいように見えたので慌てて撮影した
らノスリだった。富良野の弟の寮を覗いたり、
南富良野の道の駅でスタンプを押したりして
夕方に帯広へ帰った。

すごい距離を運転したお父さんは疲れがどっと
出て夕食後すぐに眠ってしまった。
おかげさまで今回の遠征も非常に充実したもの
となった。この素晴らしい北海道で兄弟久しぶ
りに水入らずできたのも嬉しかった。
ナキウサギ
ノスリ

2001年9月22日(8日目)
紅葉の大雪
冷え込んだ朝、積雪が懸念された石北峠の
通行は可能なようで、一路旭川方面へ出発。
いつもより多い交通量に目を丸くしたが、
考えてみれば3連休の初日で、北海道は紅葉の
始まりの良い時期、大雪の旭岳や黒岳では
ちょうど見頃となっているので観光客が多い
のだった。どうりで『わ』ナンバーのキレイ
な車が多いワケだ。峠には雪が残っていて
気温はひとケタ、とても寒い。銀河の滝、
流星の滝では少し色づいた葉と滝とのコント
ラストがキレイだったが、寒くて外に長くは
いられなかった。層雲峡のロープウェイの
駐車場は観光客で溢れ返り、上に登るのは
諦めた。混んでて凍えるのではとても合わな
い。穴場と思って銀泉台へ移動したものの、
ここも観光客でいっぱいだった。紅葉はさす
がに見事で雪化粧のおまけ付きだった。とに
かく寒いので北海道で紅葉を観るのは初めて
という事に後で気がついた。午後は旭川の
神田さんの家を訪ねた。しばらく談笑の後、
弟を駅まで送り、今日の宿へ。この夜は神田
さんと、神田さんの大先輩でスーパーマンの
札幌の河野さんも一緒に泊まって下さり、
大いに飲んだ。二人とも報道屋、私の仕事と
同じという事もあって話は面白い。大規模テロ
の話題になるとお二人ともアフガンに行きたい
との意気込みで、さすが現場をやっている人々
だと思った。私は写真を配信するだけなので
とても真似できないが、そのハートは理解でき
る。報道はイケイケなのだ。
銀泉台の紅葉

2001年9月21日(7日目)
エゾシマフクロウ
せっかく良い宿なのでのんびりとしないのは
勿体無いとも思われたが、前夜の感動が忘れ
られず、あえて早起きしてカムイ探索に出か
けた。しばらく歩くと朝の森にカムイの姿を
見つけた。シャッターを切っていると近くに
もう1羽を確認、つがいのようだ。しばらく
すると2羽は大きな羽根を広げて悠然と森の奥
へと去っていったので宿に戻った。朝食後、
いろいろとお話して下さりお世話になった
女将さんに丁重にお礼を言って宿を出た。
天気は悪い予報だったが、空は快晴だった。
期待して摩周湖を観に行く事にした。ここに
来ると必ず霧に視界を阻まれ、その美しい姿
を自分の目で見た事が無かったのだが、この
日初めて最高の条件で摩周湖を眺める事が
できた。空は青く朝の光がきらきらとしてい
て浮かんでいる雲が気持良さそうだ。湖の水
はとても美しい、空よりも青いブルーで神秘
的な色。滅多にない好条件に大満足した。
しかし快晴は長く続かず、オホーツク海に出
る頃にはすっかり空はどんよりと厚い雲に覆
われてきた。網走に入るとかなり勢いのある
雨が降ってきて、さっきまでの好天が嘘の
ようだ。天都山での眺望を諦め、やまね工房
へ。ここは非常に出来が良い手作りのぬいぐ
るみの専門店でぬいぐるみになっているのは
北海道の動物たち。シマフクロウのぬいぐる
みが欲しくなったが、結構高価なので手が出
なかった。その後、卯原内でサンゴ草を観て
(この時期に真っ赤に紅葉する)、サロマ湖沿
いを西へ移動。留鳥になっているオジロワシ
も見かけた。
雨は少し弱くなったが、風が強く、かなり寒
い。念のために用意していたマウンテンジャ
ケットがとても役に立ったが、まさか着る事
になるとは思わなかった。湧別で南下し、
留辺蘂に出て宿に到着。ポンユ温泉という
さびれた宿は風呂がぬるく、食事も評価する
までもない平凡なものだった。長距離トラッ
クの運転手の簡易宿という印象だ。夜もどん
どん冷え込んで来て、ヒーターを使った。

そして翌日の天気予報。峠は雪!との事で
石北峠越えへの影響が懸念された。
快晴の摩周湖
卯原内のサンゴ草

2001年9月20日(6日目)
釧路湿原展望台より
富良野で農業を始めた弟を案内するべく道東
遠征。初日の天気は上々で釧路湿原も遠くま
で良く見通せた。厚岸、霧多布などを経て、
標津へ。とある温泉旅館に宿泊した。ここは
エゾシマフクロウの来る宿として秘かに有名
な所なので観られれば素敵だなと思ったが、
まず1泊で撮影までできるわけはないと考え
ていたのであまり期待はしていなかった。

アイヌの人々はシマフクロウを
『コタンコルカムイ=村を守る神』と呼ぶ。

弟とともにせせらぎの露天風呂に入っている
と、何か聴いた事のない鳴き声がする。だが
渓流の音に消されはっきり聞こえない。何か
工作機械の音のようにも思えた。その時、
ふと屋根に目をやるとフクロウのようなシル
エットが下へフワっと降りるのが見えた。
『来た!』あわてて風呂から上がり、部屋に
機材を取りに戻って、慌てて現場へ行くと、
そこにその神々しい姿があった。初めて間近
に見るカムイにすっかりのぼせ上がったが
既に外は暗く撮影は困難であった。ISOを1600
まで上げてもシャッターは1/4を示していて
1脚派の私には無理な条件だと思ったが指を
くわえて眺めているわけにもいかないので
全身全霊で壁に身体を押しつけ、息を止め
て腕の震えが収まった瞬間にシャッターを
切った。そしてすぐにカムイは飛び去ってし
まった。奇跡的にブレなかったが、やはり
ISO1600は荒れが目立った。人間も食事の時間
になりご馳走が次々に運ばれて来るが、もは
や食事よりもシマフクロウである。再び彼が
来ていないかとやきもきしながら足早に食事
を済ませ、弟と共に現場に張り込んだ。カム
イを観たいという他のお客さんも何人かいた
が、根気よく待つ人は皆無だった。宿の女将
さんやフクロウ好きな従業員さんにもいろい
ろとアドバイスをもらったが、後は運であ
る。22:00頃に来ているのを見つけ、周りの人
に教えた後に撮影に備えたが10秒ほどの短い
チャンスをものにできなかった。周りの人々
はキャーキャー喜んで、すっかり満足して
部屋に戻って行った。はっきりとその姿を目
の当たりにしながら撮影に失敗した私はこう
なれば徹夜でも粘ろうと思った。
23:00を回ると私独りになった。ビデオを準
備し、コーヒーをすすりながらひたすら待っ
た。そしてついに23:50頃、私の思いが通
じたのか再び彼が来た。ISO800で1/15、400で
1/8のスローシャッターを慎重に切った。
今回は彼が10分ほど滞在してくれたので、
スチルを押さえてビデオでの撮影もできた。
こっこの餌を確保すると彼は悠然と去って
いった。興奮覚めやらぬまま撤収。何とか
徹夜は回避された。
ここの宿はフクロウを抜きにしても素晴らし
い内容で、環境良し、食事良し、接客良し、
風呂良しで大満足だった。また冬場にも
来てみたいと思った。初日に大収穫だった。
シマフクロウ
シマフクロウ

2001年9月19日(5日目)
エゾシマリス
朝から久しぶりに良い天気。少し早起きして
ナキウサギ撮影へ出かけた。平野部はキレイ
に晴れていたのだが、山へ入るとどんよりと
曇り、時折小雨がパラついた。現場には多く
の愛好家が集まっていて、ナキウサギ君の
登場を待ちかまえていた。しかし、晴れ間は
来ないし、風は強めで条件はあまり良くな
かった。風があるとナキウサギ君はあまり姿
を現さない。なぜなら、ナキウサギ君は天敵
(猛禽類など)の襲来を羽根音などで察知す
るからだ。風があると羽根の音が聞こえない
ので危険=引っ込むことになる。眼はあまり
良くないらしい。
現場にはエゾシマリスもうろちょろしていた
が、皆、お目当てはナキウサギ君なので外道
扱いしていた。30分ほど待つと、やっと本日
1回目のご対面となったが、顔をのぞかせた
だけですぐに引っ込んでしまった。さらに待
つ事20分左方向のガレ場に現れたので、
恥も外聞もかなぐり捨てて私はそちらへ移動
して、そちらで張り込んでいた人に便乗して
撮影した。1脚ならではの機動性なのである。
こちらのナキウサ君は糞を食べていた。さら
には食べ終わるやいなや、今度はぷりぷりと
糞をし始めた。何だかとてもリサイクルな
生き物ではないか(笑)。
お世辞にもフォトジェニックとは言えない
光景であまりシャッターを押せないでいたら
すぐに影に引っ込んでしまった。早々に撮影
を切り上げ、士幌と音更の道の駅のスタンプ
集めに行った。途中、六花亭のライバルの一
つ『柳月』の、音更に新たにOPENした
スイートガーデンへ寄ってみた。ここでは
柳月のお菓子が販売されており、買ってその
場で無料の珈琲とともに楽しむ事ができる。
さらに菓子工場が見学できる他、お菓子作り
の教室もある(有料)。この日はガトーショ
コラとショートケーキを食べてみたが、その
味は六花亭に似て甘過ぎず美味しい。良く見
ると店構えやPOPなどもそっくりで競争意識
が丸出しだ。ただ、店員の機転が利かず不親
切に思える場面もあって、店員応対は六花亭
の方に軍配が上がる。まあ、近くを通る事が
あれば寄るのも一興かなという感じだ。ただ
柳月の『三方六』は逸品で私は好きである。
夕方、いつもの森まで歩きリスを狙った。
おととい虫に刺されまくってひどい目にあっ
たので、この日は虫対策を万全にした。
エゾリス君は数匹遊んでいたが、シマリ
ス君は現れなかった。満足ゆくシマリスの
写真は残念ながら、またの機会にお預けと
なった。

夜、富良野から弟がやって来た。半年ぶりの
再会。農業青年らしく真っ黒に日焼けして
さすがに身体つきががっちりしていた。
またもお父さんが寿司を握ってくれて、兄弟
久しぶりの団らんが一層楽しくなった。

明日から妻と両親、弟の5人で道東を旅行
する。どんな出合いが待っているか楽しみ
である。
ナキウサギ
柳月スイートガーデン
エゾリス

2001年9月18日(4日目)
丸山展望台からの眺め
今日も十勝は天気が悪く、小雨がぱらつく朝
を迎えた。気乗りもしないし、友人に頼まれ
た道の駅のスタンプ集めにでも行こうと昼前
に出かけた。最初は更別の道の駅、車を南へ
向けた。しかし、しばらく走ると上空から少
しづつ青空が広がり、日も差すようになって
きた。次第に天気は良くなり、更別から忠類
の道の駅へ走っている頃にはすっかり晴れて
きた。忠類の丸山展望台に登ってみると十勝
平野がよく見渡せた。この展望台、あまり
知られていないが眺望も抜群でおすすめであ
る。忠類の道の駅ではわさびアイスを食し
た。このアイス、わさびの風味はもちろん、
その辛みまでも生かしているもので、甘辛い
ものになっている。これが意外に美味しく、
クセになりそうな不思議な味である。スタン
プを押して忠類を出ると、大平洋を目指して東
へ。晩成温泉へ出て周辺の森をチェックし
たが真昼間ということもあって、動物の気配
も感じられなかった。そこから海岸沿いを北上
し、勇洞湖へ向かった。市街地から離れて
いるので建物も少なく、ただただ広い畑と緑
が広がる。そんな風景に目を凝らしていると
数km走った所でつがいのタンチョウを発見。
道路のすぐ脇で何かを盛んについばんでい
た。車を停めるとこちらを少し警戒したのが
判ったので、彼等を驚かさないように車の中
から窓を開けて撮影した。しかし、車の位置
的に手前の葉が邪魔になるので、そっと車を
降りて忍び足で障害物がない位置まで移動し
撮影した。かなり近い位置になったが、彼等
は構わず昼食に夢中になっていた。通りか
かった自転車旅行の人も止まってデジタルカ
メラで撮影を始めた。私は十分に撮影した所
でさらに欲を出して背景をきれいな緑だけに
統一したいと思い、低い姿勢で周りこんだ。
すると彼等は警戒の鳴き声を交わし始め、
ゆっくりと奥へ向かって歩き始めた。距離的
には縮まっていないハズなのだが、おそらく
周りこまれるような動きを嫌ったのだろう。
十分に撮影して、大津へ移動。冬に何度も
通ったところだ。豊北へ移動しようと河口橋
のたもとへ堤防の上を行くと、何と工事現場
であろう、切り開かれて土が露出した河川敷
の工事現場にまたもやタンチョウのつがいが
いた。そんな所で何をしているの?と
尋ねても返事が返ってくるはずもなく、ただた
だ不思議な光景だった。豊北に出ると台風
のつめあと、打ち上げられた流木が浜を汚し
ていた。この頃には青空が大きく広がり、
傾いた夕日が眩しかった。良い時間になって
きたので周辺の湖沼を回って帰路へ。沼や耕
作地には渡り途中の雁やヒシクイが多数くつろ
いでいた。後はウサギでも出てくれればいい
なぁと以前に夏毛の個体を1回だけ目撃したこ
とのある有名なはるにれの樹のところへ向かっ
た。そこで待っていたのはウサギではなく、
またもタンチョウだった。そのつがいがはる
にれの樹の足元へ立ってくれればと思ったが
奥の薮に消えていってしまった。今日はタン
チョウデーだったなぁとしみじみしながら池
田を通って帰ろうと車を走らせていると、
またまたまたタンチョウがいた。しかも、
道路脇の川の堤防の上に!つがいと幼鳥2羽
の4羽がいたのだ。こんなアングルでタン
チョウを観察し、撮影するのはもちろん初めて
だった。タンチョウ尽くしのメインにふさわし
い不思議な、素敵な光景だった。
夜は写真家の澤田氏と待ち合わせて十勝ビール
へ。以前に食べられなかったみすずラーメンを
攻略するために十勝ビールはつまみ程度にとど
め、早々にみすずラーメンへ向かった。注文に
迷ったが、とりあえず店の名前のラーメンを
試してみた。以前に帯広のラーメン屋人気ラン
キングで大賞を取った味はどんなものかと興味
津々だったが、しょうゆベースに和風だし、
ラー油を加えたようなネギラーメンで、不思議
な味がした。店の人の愛想はとても良かったが
個人的なラーメンの好みには合わなかった。
やっぱり帯広はラーメンより豚丼かな。
ワサビアイス
タンチョウ
豊北
堤防の上のタンチョウ
みすずラーメン

2001年9月17日(3日目)
発祥の地公園
相変わらず天気が悪いので寝坊してごろごろ
していた。TVを観て食べてばっかりいると
エネルギーが余るようで身体を動かしたくな
り、いつもの森まで歩く事にした。こういう
天気だと光量が少なくISOを上げなければなら
ない(それは撮影データのクオリティの低下
を意味する)し、中途半端な時間なので活動
している動物が少ない事が予想されたが、
せっかく恵まれた環境にいるのに部屋の中で
くすぶっているのはあまりにも勿体ないと
いう事で機材を背負って出かけた。以前に
カワセミのいた発祥の森公園はすっかり様変
わりしていた。去年の夏もずっと工事をやっ
ていたのは覚えていたが、敷地が大幅に増え
ているのに驚かされた。生物環境を豊かに
するのに欠かせないグリーンベルトが確保
されていて、好ましいと思えた。公園には
エゾリスの、おそらくこの夏に巣立ったと
思われる若い個体がいて、ひょうきんに歓迎
してくれた。身体の色がかなり赤茶けた色合
いで、細身だった。顔つきも何となく愛嬌が
あり幼さがただよう。昨年いたカワセミは
見かけなかった。
この細長い公園を抜けてさらに10分ほど歩く
といつもの森に着いた。この森は市街地に
あるにも関わらずエゾリス、エゾシマリス、
アカゲラなどが住んでいて、エンゴサクや
オオバナエンレイソウなどの野草も豊富な
貴重な森である。
2月以来久しぶりに訪れた森は草が刈られて
歩きやすいものの、少し自然が損なわれたよ
うに思えた。まだ陽が高い中途半端な時間
だったが、しばらくいるとエゾリスが数匹現
れて盛んに豊富なクルミを枝から落とし、
食べたり、地面に埋めたりしていた。エゾシ
マリスも出てきたが、警戒心が強く写真を
撮らせてくれなかった。結果的にまともに
写ったのはエゾリス君だけだった。
次は冬には撮れないシマリス君を沢山撮って
おきたい。
エゾリス
エゾリス

2001年9月16日(2日目)
駒止湖
朝から小雨のぱらつく冴えない天気。帯広
の写真家、澤田武氏とともに然別へ。山へ
近付く程に天気はますます悪くなり、霧に
包まれ、雨が少し強くなってきた。駒止湖
に着くと意外にも既に葉が色づきはじめて
いて、もうすぐ観られる美しい紅葉の山並
みを期待させられた。然別湖湖畔に車を停
めナキウサギを求めて東雲湖へ向かって歩
いた。東雲湖までは早足で1時間程の道のり
でおよそ5kmのウォーキングとなった。
平坦な道で歩くのは楽だが、道がぬかるん
でいて少し歩きにくかった。およそ45分程
歩いた辺りでナキウサギの『ピチッ』とい
う金属的な鳴き声が聞こえたので歩を停め
た。なるほど周囲はコケや若い樹木に覆わ
れているものの、良く見るとあちこちが盛
り上がっていてガレ場になっているようだっ
た。少しそこで待ってみたが、東雲湖と本命
の?ガレ場を先に観ようと、再び歩き始め
た。そこから15分ほどで本命のガレ場に着い
たが、既に雨足が強まっていて、背負った
機材はびしょ濡れだった。想像よりも大規模
なガレ場は冷たい雨に打たれ無機的にも思え
た。もちろん、こんな天候ではナキウサギ君
の鳴き声すら聞こえない。ガレ場を抜けると
東雲湖に出たが、霧と雨ではっきりとその
神秘的な姿が見えなかった。湖畔に出よう
と遊歩道から降りて行こうとしたところ、
道が見えなかった。肩の高さほどもある
クマザサがびっしりと繁っていて、降りて
ゆくのは困難に思われた。雨はますます強く
なるし、少し弱気になりかけたが、せっかく
これだけ歩いたのだからと開き直って、肩の
高さのクマザサの薮に分け入った。雨に
濡れたクマザサに足を濡らしながら、強引
に湖畔まで出ると、以前に写真で見たその
神秘的な姿を見る事ができた。しばらく、
霧の東雲湖を撮影し、雨が止みそうもない
ので早々に撤退することにした。服も機材も
びしょ濡れで、身体も冷えてきていた。同じ
道を引き返し、ひたすら帰路を急いだ。帯広
に電話をかけると雨は降っておらず、時折日
が差すような天気だとの事で、早々に帰ろう
と思った。しかし10分ほど歩くと雨足が僅か
に弱まったので最初にナキウサ君の鳴き声を
聞いた場所で少し待ってみようと思った。
未だ雨は降っていたが、澤田さんと2ケ所に
別れて彼の登場をひたすら待った。鳴き声は
すれど姿は見えずが30分ほど続いたが、遠く
の方で何か動いたように見えたので目をこら
すと...いたいた3年ぶりのナキウサギ君だ。
何をするワケでもなくぼうっとしているよう
だ。口が半開きで阿呆面をしている。
手前の枝がかなり邪魔だったが、あたふたし
ながらも何とか1カット撮影できた。しかし
彼はすぐに『ピチッ』と鳴いて穴に逃げ込ん
でしまったのだった。それから30分粘った
が、声はすれども姿は出ず終いだった。
お腹も空いてきたし、帰り道は1時間なので
引き揚げる事にし機材を撤収しようとすると
『ピチッ』と呼び止められたが、キリがない
のでその場を去った。現場を離れてすぐに
遊歩道を横切る小動物を目撃した。イイズナ
かと思われたが、そっと近付くと再びナキウ
サギ君だった。口をモグモグさせながらリス
のように断続的に地面を歩いていた。次の
瞬間、彼は穴に引っ込んでしまった。帰り道
ではキタキツネに出会った。尻尾はしっかり
していて病気持ちではないようだった。待ち
に待った昼食はもちろん鹿追の『しかめん』
でごぼう天そばを食した。カリカリの衣が
そばつゆでしっとりするとごぼうが切り離れ
て食べやすい。もちろん蕎麦も美味しい。

悪天候ながら収穫が多い1日だった。
周辺のロケハンはこれでばっちりで、車を
運転し案内してくれた澤田さんには大変
お世話になった。


澤田さん、コンビニレインコートを用意して
くれてとても助かりました。ありがとう。
東雲湖
ナキウサギ
キタキツネ
ごぼう天ぷらそば

2001年9月15日(初日)
羽田空港
テロでにわかに慌ただしくなった仕事を 
尻目に、東京を離れ北の大地へ渡った。 も
はやどの国で何が起こってもおかしくない程
に世界情勢は緊迫しており、空港では当然な
がら厳重な手荷物検査が行われていた。この
ため検査場は長蛇の列で検査を待つ旅行客で
溢れかえっていた。必然的に 搭乗も遅れ、
定刻通り出発している便は 皆無であった。
JAL531便は20分程遅れてやっと大空へ飛び
立った。天気は今一つで高度を上げていくと
真っ白なだけの窓の外だった。1時間後、高
度を少し下げると襟裳岬が見えた。先人の苦
労が実って日本一の昆布を産する土地。広尾
の港を眼下にしてほどなく風景はパッチワー
クの畑に変わった。
また帰ってきた、十勝平野。
初めて見る9月の十勝平野。初秋の色は秋蒔
き小麦の黄緑色が鮮やかで、豆の葉が緑か
ら黄色に移り変わりゆく様がひときわ目を
引く。初めて見る、十勝の秋色だ。
更別の農協食堂の豚丼が美味しいというこ
とで、妻の両親に連れていってもらった
が、既に売り切れてしまっていた。美味し
いを確信できる『ぱんちょう』は平日でも
長蛇の列との事で、今回は美味しい豚丼に
ありつけないかもしれないと思うと、がっ
かりする。形ばかりの『偽物』豚丼ならば
食べたくはない。
ヌップクの森へ寄ってみると、なるほど 
そんなに広くないが、豊かな森と澄みきっ
た川があり、アカゲラやゴジュウカラなど
鳥の影も濃く、良い所だった。すぐ隣は市
街地で、周りは住宅地なのだが、こんなに
良好な環境が残っているのは不思議。この
地を守ろうと活動している人々の努力あっ
てこそである。今後も開発の魔手に度々さ
らされるだろうが、この貴重な自然を残さ
なければならない事は議論するまでもな
い。
夜は恒例のお父さんの握り寿司をご馳走に
なった。これが毎回の楽しみなのだ。

明日から撮影本番。然別周辺を予定。
ヌップクの森
アカゲラ